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Introduction to Vibration Damping (3): Vibration Damping Devices This and That - A Complete Guide

これまで紹介した制振デバイスについて、用途に合わせた選択の仕方について解説していきます。数十年に1度の大規模地震動と環境振動(風、交通振動、設備振動、歩行振動等々)では発生する振動の大きさが全く異なるため、対策としての考え方が異なります。大規模地震用と環境振動用の制振デバイスの選び方をわかりやすく紹介します。

主要な制振デバイスの特徴

制震ダンパー

オイルダンパーなどを組み込んだブレース材を壁面などに施工し、軸組が揺れるのをダンパーの減衰力で吸収します。

Advantages

  • 大規模地震などの大きなエネルギーを効果的に吸収
  • 既存建築物への後付けが比較的容易
  • パッシブシステムのため、メンテナンスフリー

デメリット

  • 環境振動などの微小な揺れには低効果
  • 設置個所が多くなり、外観や内部空間に影響を与える可能性

図1 制震ダンパー

TMD(Tuned Mass Damper)

揺れを抑えたい対象に、それと同じ周期で動くようにバネで支えたおもりを取り付けると、おもりが動き、対象物の揺れが吸収します。これを利用した制振デバイスがTMDです。

Advantages

  • パッシブシステムのため、メンテナンスフリー
  • 上下方向、水平方向どちらの振動も対応可能(ただし装置は上下方向用と水平方向用で別の装置が必要)
  • 地震用に用いた(あまり行われない)場合、屋上に設備を集中でき、スペース的には有利

デメリット

  • 大きな質量のおもりが必要になる。特に地震用に設計する場合、非常に大きなおもりが必要となるめ為、その荷重を支える剛性の高い床が必要
  • チューニングした特定の周波数にのみ効果的で、複数の周期の揺れがある場合、各周波数に対して別々のTMDが必要

図2 TMDの仕組み

上下方向用TMD(床用)

水平方向用TMD(建物用)

図3 TMD(Tuned Mass Damper)

揺れを抑えたい対象に、それと同じ周期で動くようにバネで支えたおもりを取り付けると、おもりが反応してよく動き、対象物の揺れが吸収されます。これを利用した制振デバイスがTMDです。
TMDの特徴としては、名前の通りチューニング(同調)させることです。TMDと揺れを抑えたい対象の周期がずれていると効果が表れません。また、対象に複数のモードがある(2つ以上揺れやすい周期が存在している)場合は、TMDをチューニングした周期にだけ効果が得られます。
※2つのモードに対して効果を出す場合は2種類のTMDが必要です。また、おもりの質量が大きいほど理論上は制振効果が大きくなりますが、経済性、施工性、建物への影響を考慮し、事前の解析により適切な質量を判断することが必要です。
下の写真は、床やブリッジ構造物の歩行時の縦揺れを軽減するためのTMD(おもり1ton程度)です。通常はこのように床の裏側の梁に設置することが多いです。

Figure 4 TMD

AMD(Active Mass Damper)

Figure 5: How AMD works

おもりの反力で振動を低減させるのはTMDと同じです。アクチュエータ(モータなどの駆動装置)がついていて、おもりを任意に大きく動かすことが出来るので、プログラミングにより動きを制御することで、対象の揺れを効率よく低減することが可能です。
TMDよりはるかに小さいおもりで大きな効果が得られ、対象にチューニングする必要はありません。また、複数モードに対しても1台で効果を発揮することが可能で、対象物の経年変化(固有振動数が変化したなど)にも追従可能です。
TMDにプラスして高度な振動制御技術が必要となりますが、ヤクモはアクティブ振動制御のプロ集団!AMDを始めとしたアクティブ振動制御も多数実績があるため、高度な振動対策を実現します。
写真は床の縦揺れ(鉛直振動)用AMD 左は可動マス600kgタイプ、右は50kgタイプで体験型ショールームでご覧になれます。 Click here for showroom details

Figure 6 AMD

Vibration Damping (Seismic) Devices Matrix

対象とする揺れを、揺れの大小×縦揺れ/横揺れとして分割したマトリックスで表し、ご紹介した制振デバイス①~③がどの範囲をカバーできるかを比較してみました。
AMDとTMDは、環境振動など微少なものから地震動の後揺れのような大きな揺れまで、縦揺れ(鉛直振動)/横揺れ(水平振動)問わず対応出来る制振デバイスといえます。

Vibration Damping (Seismic) Devices Matrix