複合商業施設内のフィットネスクラブで発生した振動を小型AMDで低減!

ACHIEVEMENTS 複合商業施設内のフィットネスクラブで発生した振動を小型AMDで低減!

制振装置

フィットネスクラブの振動がクリニックに伝わり、医療機器や診療環境に影響を与え、クレームが発生した事例です。 現地調査から振動計測に基づく原因分析、最適な対策の提案・実装までを行い、クリニックで発生した体感揺れの軽減を実現しました。

第一事業部 技術グループ

常 語祺(ジョウ ゴキ)

 

本事例の課題

近年、大規模複合商業施設や駅ビルでは、フィットネス施設による床振動が、上階又は下階テナントの環境振動問題につながるケースが増加しています。
特に、エアロビクスでは動作リズムと下階床の揺れやすい周波数が一致すると共振が発生し、下階テナントに居住性能上「不快な揺れ」を引き起こす場合があります。

本事例でも、
5階フィットネスクラブの運動(エアロビクス)→建物躯体(梁・柱・床スラブ)を介して振動伝搬→4階クリニックで体感揺れ・診療支障→苦情発生という状況でした(図1)。

図1 振動伝搬状況説明図

現地調査

フィットネスクラブ(5階)で通常のプログラム(ダンスや有酸素運動)を行っている時間帯でのクリニック(4階)における床の振動測定を実施しました。

測定した結果を2004年版『建築物の振動に関する居住性能評価指針・同解説(2004年)(日本建築学会)』で評価すると、「V-70とV-90間」になります(図2)。
これは評価地点にいる人の約70〜90%が振動を感じ取るレベルを意味しますが、静粛性が求められる医療環境では許容しにくい状態です。とくに診察・説明など、コミュニケーションの質が重要な場面では振動問題で苦情が出る可能性があります。

図2 現地調査測定結果

対策方法の比較

4階クリニックに伝わる床振動について、複数の振動対策(発生源・伝達経路・受振側)を比較検討しました(表1)。

 

表1 対策検討案の比較

対策狙い実施場所効果コスト施工影響懸念事項
①運用面での対応発生源の低減5階中~高 フィットネスの運用に制約
②鋼製乾式二重床 フィットネスの床振動低減 低~中 床段差・周波数帯により効果不確実
③湿式二重床低~中 周波数帯により効果不確実・床の耐荷重の課題・コンクリート養生日数
④斜材追加 クリニックの床振動低減 4階低~中 設置位置に制約
⑤TMD 効果的な場所に設置 中~高 設置場所・床の耐荷重の課題
AMD 設置場所の課題・AMD定期メンテナンスの必要

   

複数案比較の結果、以下の理由より、AMD(アクティブマスダンパー)を選定しました。

・TMDの約1/5の導入コスト
・施工影響が小さく、営業をストップせずに施工が可能
・フィットネスのプログラム内容や床条件が変わっても制御で追随可能

また、「本当に効くの?」というお客様の不安を解消するため、人力で運搬できる小型AMD(マス重量50[kg])を使い、現地でのAMD仮設デモを実施しました(図3)。

 

図3 仮設デモ時の写真

AMD設置による制振効果

固有振動数の把握

まず、床の固有振動数を把握するため、踵による衝撃加振試験を行い、4階床の固有振動数が7.2[Hz]であることを確認しました(図4)。
測定結果から、フィットネス動作のリズムに含まれる倍調波振動数と床の固有振動数が近く、共振によって床振動が増幅した可能性が高いと判断しました。

例:運動ビートが約2.4[Hz](1秒に約2〜3ステップ)の場合
  3倍調=2.4[Hz]×3=7.2[Hz]→床の固有振動数に一致し、共振で揺れが増幅しやすい。

図4 床の固有振動数測定結果(4階クリニック)

  

AMDの設置~効果確認

AMDは床の揺れに合わせて力を出し、共振付近の振動エネルギーを効果的に打ち消す制振装置です。
本事例では、床の固有振動数7.2[Hz]を対象に制御周波数帯域の設定およびチューニングを行い、デモ機の設置を行いました。

その後、5階でのエアロビクス実施時における、4階床の振動低減効果を確認するため、AMD OFF/ONの状態での4階床の振動測定を行い、比較検討を実施しました(図5)。

測定結果から、床の固有振動数付近の応答が「V-70とV-90間」⇒「V-50とV-70間」に改善し、AMD ON時に小さくなることが確認できました。
現場でのデモ(効果確認実験)による制振効果を実感することで、お客様の「効果の不確実性」が解消され、装置導入の意思決定に進めることができました。

 

図5 AMD仮設デモ効果測定結果

  

まとめ

フィットネス施設の振動は、建物構造・固有振動数・運動リズムが重なったときに大きく増幅し、階下テナントの不快感や業務支障につながります。
本事例では、精密な振動計測と原因分析をもとに、複数の対策案から最適解を選定し、AMD制振装置の導入によってクリニックの体感揺れを大幅に低減しました。

ヤクモでは、
現地調査 → 振動計測 → 原因分析 → 対策設計 → 施工 → 効果確認まで、一貫して対応が可能です。
また、対策効果への不安を解消するため、AMDの仮設デモ(効果確認実験)にも対応しております。

フィットネスの床振動でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。


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