COLUMN 技術コラム

知っておきたい!工場騒音対策方法

こんなことでお困りではありませんか?

  • 近隣住民や自治体から騒音苦情が寄せられている
  • 騒音規制値をオーバーしている(ISO14000シリーズ、騒音規制法の遵守)
  • 新しい機械を設置する予定があり、事前に騒音の予測をしてほしい
  • 役所から騒音規制の指導を受けたが、どう進めればよいか分からない
  • 発生騒音を抑えたいが、スペースや使い勝手の面から個別に囲う(防音囲い対策をする)ことが難しい

こうしたお悩みに対し、私たちがご提案している手法が 「防音壁」による工場騒音対策です。
では、防音壁とはどのような仕組みで効果を発揮するものなのでしょうか。

工場騒音対策は“3つの視点”で考える

騒音問題を整理する際は、まず「どこで、どの様な音が発生し」「どのように伝わっていくか」を理解することが重要です。
工場騒音対策には、一般的に次の3つのアプローチがあります。

  • 発生源対策:騒音源そのものの静音化する方法(モーターやファンの改良など)です。
    防振対策が有効な場合もあります。(個体音対策
  • 伝搬経路対策:発生した音が広がらないように抑える方法です。
    発生源の室内で吸収(吸音材など)+音の伝わりを遮る(防音壁など)を組み合わせて対策を行います。
  • 受音点対策:音を受ける側を防護する方法(遮音壁、遮音窓など)です。

このうち、防音壁は 「2. 伝搬経路対策」 にあたり、騒音の拡散を抑制する有効な手法です。

防音壁とは

防音壁は、音源と受音点の間に設置し、音の伝搬を遮るための構造物です。
音とは障害物(壁)で遮れば完全に防げるものではなく、防音壁の上を回り込む「回折」や、壁材を通り抜ける「透過」によって一部が伝わります。
防音壁の設計では、発生した音の詳細な把握と、これらの音の経路を定量的に評価し、目標とする騒音レベルを達成するために必要な遮音性能を確保することが求められます

防音壁

防音壁による騒音伝搬防止の計算方法

防音壁による騒音対策は、音源と受音点の間に障壁を設けることで、音の回折現象を利用して音の伝搬を減衰させるものです。
ここでは、防音壁の上部を回り込む音(回折音)と、壁を通り抜ける音(透過音)を考慮し、それぞれの寄与を計算して総合的な受音点の音圧レベルを予測します。

 

防音壁を設置する場合

1. 回折音の計算

音源から受音点へ直接届く音が防音壁によって遮られると、音は防音壁の上端を回り込んで伝わります。回折音(LPA1)は以下のように計算します。

LWA:点音源の音響パワーレベル [dB]
ATT:前川による防音壁の回折減衰 [dB]
(社)日本騒音制御工学会 『騒音制御』Vol.15,No.4(1991)P40より

防音壁を設置する場合

N:フレネル数  N = (2 × δ ) / λ
δ:経路差  δ = (r1 + r2) − r
λ:波長  λ = c / f  ( f :中心周波数 [Hz] )
c:音の伝搬速度  c = 340 [m/s]

2. 透過音の計算

防音壁そのものを透過して伝わる音も存在します。
透過音のレベル(LPA2)は、壁の透過損失(TL)を考慮して次式で求めます。

TL:防音壁材料の透過損失 [dB]

3. 受音点での合成騒音レベル

実際の受音点では、回折音と透過音が同時に存在するため、エネルギー的に合成して総合騒音レベル(LPA)を求めます。

このように、定量的な予測に基づく設計を行うことで、計画段階から防音効果を見積もることが可能になります。   

防音壁の性能を最大限に引き出すために

防音壁は、設置すればそれだけで十分な効果が得られるわけではありません。
“正しい設計と配置” が、騒音低減の効果を大きく左右します。

特に効果に直結するポイントは次の2つです。

  1. 壁の高さをしっかり確保する
     → 回り込み音(回折)を減らし、遮音効果が向上します。
  2. 音源側の反射音を抑える
     → 壁の内側に吸音材や吸音パネルを使用することで、無駄な反射音をカットできます。

また、できるだけ音源に近い位置に防音壁を設置することで、効果が大きくなります。その際は、「防音壁の両端から回り込んでくる音」「壁材を通過して到達する音」といった残留音にも注意し、適切な仕様を選ぶ必要があります。

防音壁は“最適解のひとつ”です

大がかりな防音壁工事は、どうしてもコストが気になるところです。
導入にあたっては 費用対効果を見極めながら段階的に検討することが重要です。

もちろん、屋外の大型防音壁や工場全体を囲う騒音対策が最も効果的なケースもありますが、必ずしも最初から大規模工事が必要というわけではありません。

  1. まずは低コストで試せる対策
     例:機械の運転条件の調整、吸音材の追加、小規模な遮音対策 など
  2. 十分な効果が得られない場合に追加する対策
     例:部分的な囲い、面ごとの遮音強化 など
  3. 最終的に検討する大規模対策
     例:本格的な防音壁の設置、工場全体の囲い込み

こうした流れで考えることで、いきなり大がかりな工事に踏み切る必要があるのか、あるいは他の方法でも解決できるのかを判断しやすくなります。

「どの段階から始めれば良いのか」「何を優先すべきか」
と迷う場合は、現場の条件を整理し、対策の効果を比較しながら進めることがポイントです。まずはご相談ください。