ACHIEVEMENTS サーバー室の免震対策|地震応答解析による免震装置仕様検討事例
コンサルティング
サーバー室の免震装置選定事例|上層階・長周期地震動に対応した仕様検討と解析結果
免震装置の導入にあたっては、想定地震動に対する免震効果を事前に確認するため、検討用地震波を用いた地震応答解析を実施します。 解析結果に基づき、設置条件および要求性能を満たす免震装置仕様の検討・提案を行います。
第一事業部 技術グループ
戴 亦琦(タイ イチ)
サーバー室免震の課題|上層階・長周期地震動の難しさ
本事例では、とある建物の上層階にあるサーバー室に、サーバーを設置する計画がありました。免震装置の導入を検討しており、要求性能を満たす製品の提案をご要望いただきました。
お客様より提供いただいた地震動データ(レベル2およびレベル3地震動)を対象として検討を実施しました。これらの地震動はレベルが大きく、かつ長周期であるため、上層階では地震時の応答加速度および応答変位が大きくなることが想定されました。 このような厳しい条件の中で、要求性能を満たす免震装置および装置仕様を決定する必要がありました。
免震装置3種の比較と選定プロセス
本検討では、複数の免震装置について対策の可否を評価しました。
サーバーウテナ(SU):共振リスクで不採用
まず、サーバーウテナ(SU)について検討した結果、入力地震動の周期が約5秒であるのに対し、サーバーウテナの固有周期が約6秒と近接していることから、共振が発生する恐れがあり、応答加速度および応答変位の増大が懸念されたため、適用は困難と判断しました(図1)。

フロアーウテナ(FU):初期検討では不採用
フロアーウテナ(FU)について検討した結果、ストローク±390mmではレベル3地震動への対応が困難であり、十分な免震効果が得られないことが確認されました。そのため、要求性能を満たさず、適用は困難と判断しました(図2)。

水平2次元免震床(NQ):採用へ
水平2次元免震床(NQ)について検討した結果、減衰およびストロークの調整が可能であるため、要求性能を満たす可能性があると判断しました(図3)。

以上の結果より、水平二次元免震床を対象として、詳細検討を実施することとしました。
初期検討の条件と解析結果
検討条件
・検討地震動:レベル2、レベル3
・設備への出力加速度:250gal 以下
・減衰:25%、35%
検討結果の一例として、レベル3地震動において、免震床の減衰を35%とした場合、最大加速度は560galから220gal程度まで低減され、最大変位は約490mm程度となりました(図4)。

検討結果により、減衰35%、ストローク±500mmの水平二次元免震床は、多くの地震動に対して対策が可能となり、お客様に提案しました。しかし、可動範囲が大きく、設置フロアのスペース制約により現実的ではないとの意見をいただきました。
そこで、お客様と協議し、以下の条件で再検討することになりました。
再検討の条件と解析結果
検討条件
・検討地震動:レベル2
・設備への出力加速度:250gal 以下
・最大変位:300mm 以下
これらの条件を満たすため、必要となる減衰性能について再度検討を実施しました。
検討結果の一例として、レベル2地震動において、免震床の減衰を55%とした場合、最大加速度は560galから230gal程度になり、最大変位は約290mm程度となりました(図5)。

また、検討条件の変更により、当初は提案対象外としていたフロアーウテナについても、再度検討対象となりました。
フロアーウテナを用いて検討を行ったところ、レベル2地震動において、最大加速度は560galから120gal程度になり、最大変位は約290mm程度となりました(図6)。

まとめ
本検討では、各検討条件において要求性能を満たす装置仕様を確認し、お客様に提案しました。また、検討条件の変更により、フロアーウテナでも対応が可能となり、新たな選択肢として提案することができました。
このように、ヤクモでは設置スペースの制約などを考慮しながら、加速度と変位の両方を抑制できる免震装置を設計し、お客様の要求性能に適合する装置または仕様をご提案することが可能です。 免震でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。