ACHIEVEMENTS 蓄電池施設の騒音対策、計画段階からできていますか?
防音設備
蓄電池施設では、冷却ファンやパワーコンディショナ(PCS)の稼働に伴って継続的に音が発生するため、計画段階からの騒音対策が欠かせません。特に周辺に住宅がある場合、稼働後に「音がうるさい」といった近隣トラブルに発展するケースもあり、立地条件に応じた事前の検討が重要です。
本事例では、近隣住宅を受音点として騒音シミュレーションを実施し、その結果に基づいて防音壁の高さや設置位置を検討しました。周辺環境への影響を事前に把握することで、必要な防音性能を確保しながら、過剰にならない合理的な設備計画につなげています。
蓄電池設備における騒音対策の課題
千葉県内で計画された蓄電池施設は、敷地周辺に住宅が近接しているため、設備の稼働音が生活環境に与える影響を計画段階から把握し、十分に低減しておく必要がありました。
しかし、蓄電池設備は、騒音規制法が定める規制の対象(特定施設)に該当しないため、法令上の規制基準は直接適用されません※。そのため、近隣の生活環境に配慮した目標値をどう設定するかが、本計画における検討課題となりました。
あわせて、使用機器の音響パワーレベルや設備の配置、近隣住宅までの距離など、実際の施設計画に即した条件で騒音を予測し、必要な防音性能を見極めることも求められました。
そのうえで、周辺への騒音影響を抑えつつ、経済性にも配慮した設備となるように、防音壁の高さと設置位置を合理的に決定することが、本事例における課題でした。
※騒音規制法と環境基準の違いについて詳しくは「蓄電池施設の騒音対策」をご覧ください。
表1 施設概要
| 所在地 | 千葉県内 |
| 主な騒音源 | 産業用蓄電池設備(冷却ファン、パワーコンディショナ) |
| 周辺環境 | 近隣に住宅が所在(受音点:P-1〜P-6の6地点) |
| 検討した騒音規制 | 騒音規制法、環境基準 |
対策内容
お問い合わせから対策提案に至るまでは、以下の流れで検討を進めています。
- 1. 目標値の設定方法のご提案
本計画は騒音規制法上の規制基準が直接適用されないため、目標値の設定にあたり、同法に準じた基準値と環境基準という2つの考え方をご提示し、周辺の生活環境により配慮した水準である環境基準を採用することをご提案しました。行政および近隣住民との協議を経て、環境基準を自主的な目標値として採用いただきました。
- 2. 騒音シミュレーションの実施
蓄電システムコンテナやパワーコンディショナ(PCS)といった使用予定機器の音響パワーレベルや配置をもとに、受音点(P-1〜P-6の6地点)ごとに騒音伝搬シミュレーションを行い、住宅側に到達する騒音レベルを算出しました(図1)。
- 3. 防音壁の仕様・設置位置の検討・提案
シミュレーション結果をもとに、目標値を満たすために必要な防音性能を確保できる、高さ3mの防音壁をご提案しました。設置位置は騒音源と住宅の位置関係を踏まえて設計し、必要最小限の規模にとどめています。

騒音シミュレーション結果|対策目標値と音響計算結果の比較
事前の施工計画段階において実施した、各受音点(周辺への影響評価ポイント)における騒音レベルの予測計算(シミュレーション)結果は以下の通りです。
対策を講じない場合、受音点における予測騒音レベルは最大57dBでしたが、高さ3mの防音壁の設置により、全ての受音点で目標値の45dB以下(図書館内とほぼ同じ音量が目安)に抑えられることを確認しました。
騒音レベルの目安について詳しくはこちらをご覧ください。
■ 予測計算結果一覧(騒音レベル単位:dB)
| 騒音対策案 | P-1 | P-2 | P-3 | P-4 | P-5 | P-6 |
| 対策目標値 | 45 | 45 | 45 | 45 | 45 | 45 |
| 騒音対策が無い場合 | 49 | 55 | 57 | 53 | 44 | 47 |
| 防音壁(1m) | 49 | 55 | 57 | 53 | 44 | 47 |
| 防音壁(2m) | 43 | 53 | 55 | 47 | 45 | 45 |
| 防音壁(3m) | 38 | 44 | 45 | 41 | 45 | 45 |
※青文字は目標値以下を満足
【騒音予測コンター図】



まとめ
蓄電池施設は、必ずしも騒音規制法の規制対象になるとは限りません。
しかし、稼働後は蓄電システムコンテナやパワーコンディショナ(PCS)などから継続的に音が発生するため、法令上の制限の有無にかかわらず、計画段階から騒音リスクを把握し、対策方針を明確にしておくことが重要です。
本事例では、法令上の規制対象外であっても、環境基準を自主的な目標値として設定し、シミュレーションに基づいて防音壁の仕様を検討しました。稼働前に対策内容を具体化できたことで、行政や近隣住民への説明にも活用でき、計画段階から騒音対策を確実に進めることができました。
蓄電池施設の計画を検討されている方は、ぜひ計画段階から騒音対策をご検討ください。当社では、騒音シミュレーションによる事前検討から防音壁の設計・施工まで、一貫してサポートいたします。