制振入門(3) ~制振(震)デバイスあれこれ~

制振(震)デバイスの種類と特徴

①制振(震)ダンパ(制振部材)

制振(震)ダンパの仕組み
図1 制振(震)ダンパの仕組み

 オイルダンパなどを組み込んだブレース材を壁面などに施工し、軸組が揺れるのをダンパの減衰力で吸収します。ダンパがある程度伸縮しないと減衰力を伝えることが出来ないので、建物に取り付ける下図のような制振ダンパの場合、ある程度大きな揺れの時(地震など)に効果を発揮します。逆に微少な揺れの場合はあまり効果を期待できません。

制振(震)ダンパ
図2 制振(震)ダンパ

②TMD(Tuned Mass Damper)

TMDの仕組み
図3 TMDの仕組み

 揺れを抑えたい対象に、それと同じ周期で動くようにバネで支えた錘を取り付けると、錘が反応してよく動き、対象物の揺れが吸収されます。これを利用した制振デバイスがTMDです。
 TMDの特徴としては、名前の通りチューニング(同調)させることです。チューニングが合っていれば良いですが、ずれていると効果が表れません。また、対象に複数のモードがある(2つ以上揺れやすい周期が存在している)場合は、TMDをチューニングした周期にだけ効果が得られます。
※2つのモードに対して効果を出す場合は2種類のTMDが必要です。また、錘の質量が大きいほど効果は高くなりますが、むやみやたらに大きなTMDを付ける訳にはいかないので、事前の解析によってどのくらいが適切なのかを判断することが必要です。
 下の写真は、床やブリッジ構造物の歩行時の縦揺れを軽減するためのTMD(錘1t程度)です。通常はこのように床の裏側の梁に設置することが多いです。

TMD
図4 TMD

③AMD(Active Mass Damper)

AMDの仕組み
図5 AMDの仕組み

 錘の反力で振動を低減させるのはTMDと同じです。アクチュエータ(モータなどの駆動装置)がついていて、錘を任意に大きく動かすことが出来るので、うまくコントロールしてやると、対象の揺れを効率よく低減することが可能です。
 TMDよりはるかに小さい錘で大きな効果が得られ、対象にチューニングする必要はありません。また、複数モードに対しても1台で効果を発揮することが可能で、対象物の経年変化(固有振動数が変化したなど)にも追従可能です。TMDにプラスして高度な振動制御技術が必要となりますが、ヤクモはアクティブ振動制御のプロ集団!AMDを始めとしたアクティブ振動制御も多数実績あり。高度な振動対策を実現します。
 写真は床の縦揺れ(鉛直振動)用AMD 左は可動マス600kgタイプ、右は50kgタイプで体験型ショールームでご覧になれます。 ショールームの詳細はこちら

AMD
図6 AMD

制振(震)デバイス守備範囲マトリックス

 対象とする揺れを、揺れの大小×縦揺れ/横揺れとして分割したマトリックスで表し、ご紹介した制振デバイス①~③がどの範囲をカバーできるかを考えてみました。
 AMDとTMDは、環境振動など微少なものから地震動の後揺れのような大きな揺れまで、縦揺れ(鉛直振動)/横揺れ(水平振動)問わず対応出来る制振デバイスといえます。


図7 制振(震)デバイス守備範囲マトリックス

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